嫁聴け(1998-2016)

音を触媒にした連鎖と波形を、言葉を道具に焼いたもの

自己愛・自己撰

数十年後の自分による肯定

月アカリサイレース / UNLIMITS (2006)

ハウリングハウリング 早く逃げてしまえ。月に溶けてしまうその前に その四本の足を踊らせて夜の逃げ道を探せ 逃げる先は木陰か、人の作りし東屋か ありとあらゆる隙間から光は滑り込むハウリングハウリング 仲間を探せ。月を研ぐ牙、死をも恐れず挑む牙を探…

Change / MONKEY MAJIK+吉田兄弟 (2007)

僕は君のペルソナ 一つの顔を見せたその裏で描くのは君に合わせた仮面 機嫌一つ、僕の顔は消えてしまい君色に染まる ワンディレクション ワンウェイ 戻ることの出来ない層の中でただひらすら斜面を下る雪崩を繰り返している 僕は何になろう、君のその顔加減…

ダイナマイトとクールガイ / ムーンライダーズ (1992)

根なしのアホウドリから飛び散った一枚の羽は 揺れる水面に一瞬にして消え去り それを太陽とともに眺める僕らは 一体どんな顔をしているのだろうか いつかの海辺はいつかの光景のように広がり それをとらえる瞳に僕は果たして どこまで誠実に描かれているだ…

ワンダーフォーゲル / くるり (2000)

僕は一本足で旅に出る 残していく人たちにろくなあいさつもせずに 身体のバランスは良くないけれども 誰とも異なった視線のぐらつきが僕のアイデンティティ 二本足の子どもたちが腰の下で回って 軽快に僕を追い越していく 鬼になったのは誰だろう 子どもたち…

TRAIN-TRAIN / THE BLUE HEARTS (1988)

北行き電車の影が俺を轢き殺した朝 ああ刺したばかりの日はまだ若く 俺の耳を凍てつき震わす ロマンティックなTRAIN-TRAIN 生き返らせてはくれまいか プレイリストの最終項 俺のこの世の置き土産に この曲の題を遺してだけ去る 背中からせまり来るあの朝に …

負けないで / ZARD (1994)

自分の人生においても、これほどまでに誰かを悲しませてしまうことはないだろう一大事をやらかしたその日、医者にはきつい灸をすえられ、そして一日の絶対安静を告げられた。自転車のハンドルをまっすぐに保つことすらままならない帰り道。それでもお腹は空…

BLUE MOON BLUE / 高橋幸宏 (2006)

角砂糖一つだけ針葉樹の森 私のように誰かが標した小径を探りながら 月はただ丸く 口の中溶けてなくなるまで

ラブリー / 小沢健二 (1994)

ハッピーの仮面、どこから語ろうか 蒸し暑い昼休み、便器の中に何億かの精子をぶちまけ その上に座ってくうくうと眠った 誰かの目にはかわいらしい寝顔 誰が見てもただの疲れたサラリーマンの寝顔 30分もくうくうと眠り 水を流して仕事に戻った ベルトを締め…

夏の日の午後 / eastern youth (1998)

頼りない夏の木陰にて 擱として閊(つか)え じっと命を見詰めています 遙かに育まれ過ぐ緑 少し色を摂り欲張ったようで 慈悲深き光は子らの肌を射抜き 溢れんばかりの汗と目の光の源としています伝道師として疎まれ 殉教者の夢は取り上げられ 失道の極みに…

確かな光 / 高野寛 (2004)

カラフルくるくるかわり玉 色のさかいめひかりをためて すきまにかくれたあの子はだあれ かりかりころころすりばちのそこ こつんとぶつかりからっこはぜた あの子とこの子とまんまるはだか お日さまめざしてにげだした さらさらのこったあまいつぶ つめにの…

Home / Polaris (2002)

パルスの山に足もととられ パルスの谷に喜怒哀楽 時間の線をつまんではじく 天変地異のはじまりはじまり直立歩行の雪見るうさぎ 両手に懐中時計たずさえて 右に耳をすませば 左の秒針 左はガラスの外れた文字盤 ないものあるもの はざまに身を置き何時閉じて…

wagamama no hotori / bloodthirsty butchers (2001)

わがままのほとりほとほとと歩きくたびれ 気はすずろ 歩み止まぬ傍らを 走り抜ける上り列車 対岸の楼 (たかどの) 日々姿を変え 腰落ち着ける石見当たらず 石温める腰疲れはて我岸 (ががん) はらはらと足首を撫でる瀬に取られ 滑り至る涯てには彼岸 (か…

Distance / 宇多田ヒカル (2001)

今考えてもどうしようもないこと、時おり極論を交えて。対向車線の馬鹿なハイビームに目がくらみ、センターラインを踏み外してはあわててステアリングを戻している。真夜中の運転は大抵が無理矢理。寝る前のもったいないお化けが風呂敷包みを抱えてやってく…

ワンダーフォーゲル / くるり (2000)

数日間、天井の煤を追う病院のベッドで 思いに身体をあずけていた これまで見えもしなかった人生は 向こうからやって来たり 向かわざるを得なかったり それらの瞳を見つめて 一通りの真実と事実を口に語り 理解と安心は何も案ずることはなく 笑顔は変わりな…

名もなき詩 / Mr.Children (1996)

つい数十分前に借りたばかりの CD。スロットに差し込むとやがて 4 つのスピーカーは、 1 曲目にはふさわしくない曲を送り出し始めた。その奥底から熱風を送り続けた太陽は、暮れる直前の東京上空を、炎天下に見とれるほど深く、そして青く色づけている。自動…

kocorono / bloodthirsty butchers (1996)

見れども遣れども土、土、土、土 鍬振り下ろしゃ石が出る 次も石かと思うて下ろしゃ ふなり、ここにゃぁ石はなし 三度がぶりと落として残るは 腕がビリリと笑う石 刃欠け鍬見て空も見りゃ 雁が十字に空を撫づ 腰に手をあて向こう見りゃ ぴょんと鴉がはね歩く…

Go Go Round This World! / Fishmans (1998)

始まりはどこへ行ってしまったのでしょうね 始めに考えていたことはどんなことだったんでしょうね真っ正面にお月さんがいるよ 昨日よりも大きいよ、明日よりも大きいよ、少し考えすぎだよ 追いかけようがないね、同じ高さにいるのに こちとら数センチ、あち…

GET YOURSELF ARRESTED / SHAKKAZOMBIE & northern bright (2000)

Get yourself arrested, the optimization problem. I suppose that I recognize a life as like maximization problem (yes, my exprience tells me such a view), and the outline of the life as constraints consist of simultaneous inequalities. But …

旅路ニ季節ガ燃エ落チル / eastern youth (1998)

今日もまた、独り歩きのお疲れさま 帰り道の電車は、ピーク前の冷房で 鉄橋の下に映る夕陽はいつもの通り 球児が、逸れた球を追いかけ走るフェンスを引きちぎらんばかりに 握りしめる子どもの瞳が ホームに滑り込む俺を追う 10 年選手の錆びた空き缶は また…

cult grass stars / thee michelle gun elephant (1996)

駅のホーム、自分の足につまずいて転ぶ。こらえきれずに笑う。 大声で嘲う。今日が、思ったよりも早く騒音に埋もれようとしている。 転んだ先の床。場違いに蟻が歩く。指を伸ばして潰す。 大声で嘲う。瞬時たりとも消えることのない鋼の軋み、拡声器。 買い…

DIVE / 坂本真綾 (1998)

わたしの手をにぎってくれるあなたが好き ぼんやりしているわたしの横で 優しい目をしているあなたが好き わたしはあなたが好きあなたは両手を大きく広げ 開けた窓から新しい空気を深く吸い込んだ わたしはふざけて 胸に手を組んで床に倒れた見下ろした あな…

さよならストレンジャー / くるり (1999)

ここの雨は汚いものです。中途半端に雨が降れば、次の朝、駐車場に並ぶ車は泥まみれで、たぶん明日の朝もそうでしょう。濡れようと思って傘も持たずに出掛けてみました。案の定、そこを出たら雨が降り始めてくれました。喜び勇んでサドルにまたがってみれば…

Lifetime / GRAPEVINE (1999)

たとえ虚ろな目をしてみせても 覚えてしまった狸寝入りは隠せない 体が実 (じつ) としてここにあるのは知っている霞の中に消えていったテールランプのように 次の交差点ではもういなくなっている車のように 本人だけが知っている行き先をキープして ドライ…

globe 10 songs (gothic 10) / globe (1999)

1. FREEDOM 残らない足跡。空、海、そして地の路、時の路。欲しがる何かを求めて、移動するトランジット。確かにあったはずの痕跡。在住証明、過去の記録。髪、風に揺れる一瞬の微積分。次の証しを探して、誰かが記録してくれるのを期待して、また次の写真を…

three cheers for our side / Flipper's Guitar (1989)

海へ行こう。自転車で行こう。眠らない夜でも陽は昇る。目の中にそれを捕まえたら、ひたすらにそこに向かって行くんだ。お陽さまが真上にくる前に、そこに着くんだ。あの映画のように、Tシャツの中にわくわくする何かを着て、見た事もない街の景色なんて目…

CUE / ZEPPET STORE (1997)

風の郵便配達の、見えない手紙を 君の手にだけつかまえてごらん ほら、言葉は必ず入ってくるからそんな一節を信じてしまいそうな風が吹き抜ける 5 月の気まぐれな晴天に。新緑を謳い、そして次第に灰を帯びて行く愁いにさえ、またどこか喜びを覚えずにいられ…