嫁聴け(1998-2016)

音を触媒にした連鎖と波形を、言葉を道具に焼いたもの

Go Go Round This World! / Fishmans (1998)

始まりはどこへ行ってしまったのでしょうね
始めに考えていたことはどんなことだったんでしょうね

真っ正面にお月さんがいるよ
昨日よりも大きいよ、明日よりも大きいよ、少し考えすぎだよ
追いかけようがないね、同じ高さにいるのに
こちとら数センチ、あちらさんは数光年
本当に言いたかった言葉はなんでしょう
どんな風に笑いたかったんでしょう

いつも口が追いつきませんね
いつも顔が追いつきませんね
いつも頭が先回りなんですね
だって僕は賢いんですもの

『何様?』

それでいいんですか?
突き詰めると砂粒だって埃になってしまうんですよね
目に入っても目ヤニにもなりやしないんですよね
何も出来なくなっちゃうんですよね
無力

クレーターの一つや二つ、その度に有名な誰かさんが傷をつけ
ココロを作るらしい物質は、その度に有名な誰かさんに引き寄せられ
おんなじようなことばっか
最近は毎朝考えています
めちゃくちゃな夢を動かしているのは何という物質ですか
コントロールしてます、コントロールしてもらっています、リセットできません
自分じゃできません

お砂糖を小さじ少々
そんな大きなお手々じゃね、つまむのだって大変でしょう
いいのよ少しくらいウソをついたって
いいのよ少しくらいだまくらかしたって

「いいんだよ、そこまで行かなくったって」

少し言葉を調整しようとすれば簡単に煮詰まってしまう不器用さ
思い込めば思い込むほどに語彙が恣意を邪魔していく天邪鬼

誤りのさじ加減、つまむ指もささえる腕も
震えが止まらないんだよね
止めようと考えちゃうと
また一震えくるんだよね
そしてその下の砂粒に混じっちゃうんだよね
でも何粒落ちたか数えちゃってるんだよね

だって
そう、僕も同じ言葉を口にしているんですもの
だって僕は賢いんですもの