わたしの手をにぎってくれるあなたが好き
ぼんやりしているわたしの横で
優しい目をしているあなたが好き
わたしはあなたが好き
あなたは両手を大きく広げ
開けた窓から新しい空気を深く吸い込んだ
わたしはふざけて
胸に手を組んで床に倒れた
見下ろした
あなたの目はなぜか遠かった
知らない海の色に見えた
なぜだろう、全て失った気がした
「こわい」
そう言うとあなたは何も言わずに
消えてしまった
そして二つのマグカップに
暖かいミルクを運んで
一つを床に転がるわたしの横に置いた
窓際で
それを飲むあなたの横顔が好き
カップを手のひらで包み
わたしは目を閉じた
あなたの匂いがしたから
「好き」とつぶやいた
あなたは当然だという顔をして
ミルクを飲み干した
「好き」
もう一度つぶやいてみた