僕は一本足で旅に出る
残していく人たちにろくなあいさつもせずに
身体のバランスは良くないけれども
誰とも異なった視線のぐらつきが僕のアイデンティティ
二本足の子どもたちが腰の下で回って
軽快に僕を追い越していく
鬼になったのは誰だろう 子どもたちに踏まれた影
あぁそれは僕か、僕もか
あいさつの対象ではない僕と
あいさつの必要もない彼らと
その無邪気をもらったこの感謝はどこに返せばいいのだろう
また歩く あてはあるようでありそうもない
ただこの一本この足だけを頼りにして
道行く人に心からのあいさつを一つ残して
残せばあいさつも無しに出て行ってしまったことも許されるだろう
子どももいない目の前に伸びる道を
独りだけの鬼ごっこに趣を求めて