嫁聴け(1998-2016)

音を触媒にした連鎖と波形を、言葉を道具に焼いたもの

21st Century Schizoid Man / King Crimson (1969)

放心すなわち心の放浪。動かさない身体、さまよわせる心。傍から見ていれば結局何も動いてはいない。自分が観ていても何も動いてやしない。取り込んだばかりの洗濯物が目の前で揺れている。暖気ですら動いている。

不動の反動。押し迫られるように部屋から飛び出してエプロンを掛ける。晩飯にはまだ早い。でも他にすることがない。他に何かをしようとしても、それが何につながるとも思えない。少なくとも何かを作れば、食事が終わるまでの時間は潰せる。潰した時間は明日以降の負と回る。いや、食事は自分を生き延びさせるから正のエネルギー。それは本当か?

正面から受け止めるところのやり過ごしようのない不安、その正体がこの不安。誰ぞ知るその姿。

さて鍋に煮えた何かの料理はいまだ手つかず。空腹いまだ知らず。空腹すなわち身体の空白。心は放浪、身体は空腹。

ヘイ、転移した先の俺はどこだ?