夏はつい昨日までのこと
野分が渡る一雨の流れは僕らの夏を洗い流していた
あれほどの通り雨を目の前にやり過ごして
少し遊んでしまった季節を振り返る間もなく
カレンダーは進み
あの汗は少しばかりの迷いを僕にもたらせて
引き際を見誤った季節というクラスタを身体から引き剥がして行く
あの日確かに混じり合ったはずの汗の余韻すらなく
白く粉を吹いたTシャツすらももう流行遅れの恥ずかしい言い訳
僕は確かに君の塩をこの舌に感じ取り
有効期限間近の睦日を占わせていた
踏切越しの挨拶は何の予兆をもたらせたわけではなく
ただ、通り過ぎた列車の行く末に
不確定な二人の一時の別れを乗せて北へ南へ
やがて踏切が上がる、そこに君の姿はなく
ただ列車がさらった北風だけが
残り香のように少しだけ最後の季節を思い浮かばせて
いつの間にか