雨だれの速度、何 bps。
疎通の CPU が求めた 115200 bps。
到底追いつきようのない 2400 bps。
カプラーを通した受話器越しの対話。
出口で待ちかまえている耳と脳に戦々恐々としながら、入口であふれさせてしまった僕の不器用。数秒のデータ損失が致命的なコミュニケーションのロスを招いた。一呼吸前の言葉にフォローを許してもくれない、その頭は最新モデル。
渡世の技と自慢するあなた、僕は遁世を選ぶ。
回転数不足の時代遅れは、部品を交換することもままならず、身体ごと交換させられた。ローテーション間隔も知り得ない、主導権なき口約束。引退試合の名言も 2400 bps。伝えきる前に自動回線切断。握りしめた右手だけが順調だった汗の跡で滲ませている。致命的なアンバランスと、先天的なアンバランス。
歌おう語ろう記そう。
次のあなたは何が好みなんだろう。いつまでも 2400 bps。もはや充分なはずのシステムと能力。
脈動は何 bps。
変温動物の柔軟性を無視し、端末の向こう側に飼い殺される。学習しない僕が招いたリフレイン。それでも飽きることなく合致しないネゴシエーションで、合致させよう試みよう、無駄な通信履歴。こんなにもアナログな僕の声が、強制的にサンプリングされる次の君も最新式フィルター搭載。