醒め行く酔いと変わる日付
鳴りだした声を頼りに音を満たす
たたみ重ねる明日への支度
冴え澄む夜を無視して担う時を選ぶ
積もらせてしまった躯の臭いと月の匂い
混じる境にて絞り出す息は白く
暦に追いつかせる弥生
この冬も終わりなのだと告げる音、告げる記憶
東の空は薄白むかのように見え
錯覚と知りながらも何年かの癡 (やま) いが
忘れないでと涙を流す
呼びよせられたそれは出来過ぎの芝居
動けない十数分のクルージングと
補い続けてもまだ余る夜気の層累
狂おしいかな花の闇はすぐに現れ
肩口に張りついては
狙うその声ただ一つ