僕らはエスプレッソの泡に光を重ねて
窓の外の光を閉め切る
蛍光灯とは名ばかりの
得体の知れない憧れの日々が
この部屋から逃げていかないように
携帯電話のスケジュールだけを信じて
後ろ手にしたドアのことは毎日忘れた
写真も偶像も頭の中では切り分けられ
拾ったばかりの言葉を見よう見まねに
全てを食い散らかしたあとの熱に浮かせた
捨てることも放り出し見つめることも放り出す
ジアゾにもできない夢を舌に絡めていた時間は
厳格な角度にたたみこまれて今はただだらしなく
波に切りかわる蛍光灯の傘の下
掛け捨てられたカーテンだけがぶら下がる窓の中
僕らは二度と飲まれることのないエスプレッソの
美しくもない泡だけを流してテーブルに重ねた