はぐれ雲 ちぎれ雲
私の心は袋に詰められた綿菓子
いつ食べるの?
早く食べないと減っちゃうよ
一口ちぎってあなたにあげる
あなたは渋い顔をしてそれを頬張る
ふざけながら見上げた空には 半端な月が浮かんでいる
このお祭りあなたは私といて幸せ?退屈?
着慣れない浴衣姿、ふと空白の時に
二人、恋恥じらう
ほら、みんなこれからの花火大会に気もそぞろ
それまでに決めなくちゃとみんな焦ってるわ
右手にお面、左手にいか焼き
あなたの手が空くのはいつ?
私を置き去りにしてあなただけが楽しもうという魂胆でしょう
許さないわ
私の金魚、あなたがすくったのよりも多く
私の中を泳いでいるというのに
泳ぐ先は全てあなたの水槽の中
お願い、あなたの草に絡ませないでね
私はすぐに酸欠になってしまう
あなたは私を持ち帰れないから
代わりにその子をよろしくね
いいの花火は私独りでも楽しめるから
あなたは私の背中でその音と怒号を聞いていて
代わりにあなたが買ったお面をかぶって
一筋だけ流れる涙を飲み込むから
ああ、また月が射す
雲は私の仲間をしてはくれないのね
いいわ、私はあなたのお面で全て覆い隠すから